TRIPLE BOTTOM LINE Limited Liability Pertnership
トリプルボトムライン有限責任事業組合
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ここでは、リスクということばをつかいませんが、それは、環境マネジメントシステムの手順と同じです。食品安全マネジメントシステムも同様です。
ISO14001EMS は、規格上の用語として、リスクということばをつかいません。ステークホルダーに与える影響 impact といい、
その負荷の低減を取り組みの骨子とします。ISO22000FSMSは、危害 hazard とします。
リスクの特定と評価にあたるものも、環境側面の特定であり環境影響の評価です。
回避は、とくに著しい環境影響に対するもので、緊急事態 emergency situation への準備と対応です。事故 accident もそこにふくまれます。実施 implementation と運用 operation、PDCAのD=doにあたるもので、それ自体が内部統制にもなっています。
CSRはステークホルダーマネジメントともいわれます。その取り組みは、リスク回避と内部統制からはじめるのでなく、ISOの手順を援用し、
ステークホルダーへの影響とその負荷の低減、あるいはよき影響の増幅という視点からはじめるのが適切です。
はじめてしまったものは取り戻せませんが、ポリシーはあとからでも再構築できます。
・CSRはステークホルダー・マネジメント
CSRはステークホルダー・マネジメントそのものですが、そのためのステークホルダーエンゲージメントは、
ステークホルダーへの約束ではありません。
エンゲージメントは契約・約束・雇用とかいう意味ですが、事業とのかかわりからすれば、事実上、かかわり=関係 concern と
いう意味そのもののです。ステークホルダー stakeholder が関係者という意味であるのとかわりません。
したがってステークホルダーとのかかわり、ステークホルダーとともに、というタイトルで説明するのはいいですが、
ステークホルダーへの責任、ステークホルダーとの約束というのは適当ではありません。
そもそも責任といい約束というのは、権利 right に対する(負の)責任 liability ないし(法的)義務 obligation です。
企業ととりまくステークホルダーとの関係はそれだけのものではありません。もっとひろいものです。
対立があるときは法的な権利と義務が発生するでしょうが、対立していないときは、互いの友好的な要請 requirement があるだけです。
また requirement はよく要求と訳されますが、要請の方が実態をよくあらわします。
・権利と義務でなく
ステークホルダーとのかかわりにおいては、権利と義務ということからはじめないという意味も重要です。
ステークホルダーに権利があり企業に義務があるのは当然のことです。ただ、それは本来的に対立概念であり、対立するものの解決は、
法令=成文法 statutory によらなければなりません。権利と義務は、法令の範囲よりひろいという見解もあるでしょうが、
対立である以上、結局は法に帰結するものです。
したがって、権利と義務とをテーマとすると、法律を守ることだけでこと足りるということになりかねません。意識がそちらに限定されれば、
人は、法に触れなければよい、あるいは、法の抜け道をうまく利用しようという考えが起こります。
CSRはそんなことのために行うのではありません。権利と義務でなく要請 requirement と 配慮 conciderate ということからはじめる、もう一つの理由です。
・ステークホルダーは要請する、企業は対応する、配慮する
engagement の意味、かかわり=関係 concern は、すなわち、ステークホルダーからの要請 requirment と企業からする対応correspondenceです。
要請がないときには察してする配慮 consideration です。 concern と consider は同義語です。
こうした認識は、けっして、企業行動を緩和したり取り組みをあいまいにしたりすることはありません。地球環境をステークホルダーとした
グローバルスタンダード環境マネジメントシステム(ISO14001EMS)は、その重要なオリジナリティの一つとして、
「法的規制のみでは不十分という認識」をあげています。
自主的な行為をするものにとっては、いわば矜持の認識といっていいものです。
対応と配慮は、権利と義務や、法的規制(必要最小限の規制)をこえた大きな範囲を対象とするものです。そしてこれはすべてのステークホルダーについていえることです。
ステークホルダーエンゲージメントが対立概念でなく、友好 frienship であるべき理由です。
・要請と配慮と、そしてミッション(使命)へ
ミッションは事業領域と存在意義からなるものですが、存在意義とはどう社会に資するかということにほかなりません。社是、経営理念といわれるものは、不変のバリュー(価値観)であり、そこには、社会に資すべきことがうたわれていますが、どう資するか、なにをもって成果とするかはふれることはありません。
事業領域も存在意義も、時処位で変化するからです。すなわちミッションが、社会のどういう領域でどう寄与できていくかという問いは、時代によって答えが変化するのです。
したがって、ミッションもまたステークホルダーと同様なかかわりかたをします。社会には時宜、必要とすることがあります。機能不全となるところがあります。社会のかかえるそれらのモノいわぬ要請と、企業が事業のかかわりのなかから、それに時処位*に対応し配慮していくところが、社会に資する場所、すなわちミッションです。
ミッションの構築とは、そうした人の仕事としての場所、着地点を示すものです。企業がミッションで動く、人はミッションで動くというのは、経営者と従業員とが、ひたすらその着地点を共有するからにほかなりません。
逆にミッションが明示も公開もされず、共有もされていなければ、誰も明確な使命感をもちません。人は、仕事に対する誇りだけでも動くことはできますが、それだけでは自己満足におわります。たとえば、ありがとうと、第三者という他者からいわれてはじめて人は、達成感をもつことができます。そしてはじめて使命感をもつことができます。
そのすぐ先に社会があります。モノいわぬ社会はありがとうとはいいませんが、もしいい仕事をして達成感を感ずることがあったら、耳をすましてよく聴いてみましょう。なにか地鳴りのような喝采がきこえてくるでしょう。人類のつぶやきといったようなものです。
そのときのその仕事を為したバックグラウンドが、その人と企業の、コア・コンピタンスです。企業の独自性であり、どう、なにをもって社会に資するのかという、時処位の答えです。そのコア・コンピタンスの世の中への援用と応用、将来へのロードマップが、ことばとしてのミッションにほかなりません。
*時処位:日本陽明学開祖の中江藤樹が「翁問答」で提起した知行合一の指針
(→ことばの意味)
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