TRIPLE BOTTOM LINE Limited Liability Pertnership
トリプルボトムライン有限責任事業組合
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・リスク回避からはじめない
CSRへの取り組みが、リスク回避ということから導入されていくことがすくなくありません。CSR導入の動機が、二一世紀以降クローズアップされてきた不祥事をどう回避できるかという緊急性によっていたためです。
企業にとっては直接的な事由であっただけでなく、社会の動きや業界他社の動向といった間接的なプレッシャーが昂じてきていましたから、
動機としては、社会的な合意が形成されてきていたといっていいでしょう。
1987年に米国トレッドウェイ委員会が公開したCOSOレポート(内部統制の包括的フレームワーク)、2003年に日本版COSOとして発表された
経済産業省のリスク新時代の内部統制(リスクマネジメントと一体になって機能する内部統制の指針)は、そうした背景とニーズから発行されてきたものです。2006年公布の新会社法の内部統制は、その法制化にほかなりません。
ところが、リスク回避、リスクマネジメントとしての内部統制というアプローチは、かならずしもCSRから適切ではありません。
方法論としてはよいのですが、手順として適切ではないからです。そこには、企業の動機としても、政府・行政の法制としても、将来にわたる不都合があります。
・リスクとはなにか
「リスク新時代の内部統制」によるリスクは、つぎのように整理されています。
1.事業機会リスク=経営戦略意思決定の不確実性
・新事業
・商品開発
・資金調達
・設備投資
2.事業活動リスク
・コンプライアンス
・財務報告
・商品品質
・情報システム
・事務手続
・モノ・環境
リスクとは一般的な「危険」ではなく、「冒危険性」という意味です。危険が予測されることを、自己の責任で行なうことです。
一方、デインジャー danger、ハザード hazard などは「被危険性」という意味で、自己の行為によらず、予測されずに被る危険性のことです。
企業とステークホルダーとの関係では、リスクを冒すのが企業であり、ハザードを被るのがステークホルダーにほかなりません。問題になるのは、
危険性そのものの質と量であり、その著しいものがはダメージとなります。
・リスクマネジメントとはなにか
したがって、リスク回避とは、組織が自らのありうるダメージを回避することにほかならず、そのときハザードによってダメージを被るステークホルダーは
一時的に棚上げになります。
実際はリスクの回避行為は、結果としてステークホルダーのハザードを回避し、回避できなかった場合もそのダメージを
短時最小限度にとどめますから、ステークホルダーへの適切な緊急対応はできます。
ただダメージの対象を後先にしていますから、
先行優先するのは自社の効率にほかなりません。なにかしら意識から疎外していくものがあります。方針や目的・目標との齟齬も起こるかもしれません。
安全学の村上陽一郎氏は、リスク論とリスクマネジメントをこう定義しています。
人は何らか利を期待して行動するが、その行為には負の要素がありうる。その可能性を確率の立場で考慮することがリスク論である。
確立をともなう可能性だから possibility でなく probability で ある。
したがってリスクマネジメントとは、得られるべき利益と失うべき損失とを、確率という土俵の上で秤量しながら、
利益を最大に損失を最小にするような手立てを講じることである、と。
これは、CSRの基本的な姿勢を損ないます。企業はリスク回避でなく、はじめからリスクを回避する必要がない手立てを講じるべきです。
それが要請と配慮というアプローチです。
ちなみに、企業は、だれのものかという問いに、いま、ただしく答えられます。株主のものでもなければ、経営者のものでも、従業員のものでもありません。それは、社会、ないし地域社会のものです。
したがって、企業はただしく社会の公器であり、経営者も従業員も、そこに属する公人にほかなりません。なにごとも、私してはいけません。
公人として行う事業は、どれも、とりまくステークホルダーとのかかわりにおいて継続しています。そこには互いに大小の影響があり、企業が与える影響は、よきものばかりでなく、負荷となるものがあります。
その負荷の低減が、ステークホルダーとのかかわりの第一の課題であるという認識が、CSRにほかなりません。事業の継続のために、自社が傷つく度合いを基準にステークホルダーの影響をはかれば、課題はその第一から滑り落ち、負荷そのものを無視することなりかねません。痛痒も感じません。
CSRは、リスク回避からはじめない、というのはそれをいいます。
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