TRIPLE BOTTOM LINE Limited Liability Pertnership
トリプルボトムライン有限責任事業組合
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CSRは経営 management です。管理 control ではありません。管理 control はたとえば品質管理 quality control や内部統制 internal control のことです。内部統制を内部管理といわないところに、今日的な意味と control ということばが本来もつ意味があります。
今日的なCSRとは、ステークホルダー stakeholder (多様な関係者)、ミッション mission (社業と使命)、コンプライアンス compliance (規範と順守)の三つからなります。時処位*として、いま現在、多様化と使命と規範順守の三つへの対応が要請されているということです。
それぞれに付帯的なものがあり、ステークホルダーは企業をとりまくすべての関係者への対応と配慮とそのアカウンタビリティ(説明責任)であり、ミッションは企業価値の向上と、なにをもって社会への貢献(存在意義)とするかという、全社的な共有であり、コンプライアンスは、節義や謙譲(傲慢・驕りの抑止)、誠実や言行一致など、それら行為規範の全社的な共有と実施です。
その着地点は、行為の結果としてどう社会に貢献したのかという成果です。それが企業の社会的評価にほかなりません。
・多様性ステークホルダー
企業をとりまくステークホルダーは、今日多様化したといわれていますが、そうではありません。もともとステークホルダーとして多様に存在したものです。気にしてこなかった、必要がなかった、そのためにマネジメントの対象にしてこなかった、というのが実情です。
企業をとりまく関係者は、顧客、従業員、株主、債権者(銀行)、供給業者くらいしかなく、それもステークホルダーとして認識していたのではありません。ステークホルダーという関係者は、マネジメントの対象となってはじめて成立します。シェアホルダー shareholder という株主さえ、ステークホルダーとして認識されてはいなかったのです。
株主についていえば、今日的な、SRI(社会的責任投資)が登場し、ものいう株主が出現してM&Aが珍しくもなくなったために、その存在感とともに、ステークホルダーとしての株主が再登場したのです。したがって、顧客も従業員も、債権者も供給業者も、すでにかってのかかわりのままではありません。歴としたステークホルダーとして出現しているのです。
政府・行政も、NPO・NGOも、地域社会も国際社会も、メディアも地球環境も、すべて新しい顔をしたステークホルダーとして、企業をとりまいているのです。
CSRマネジメントはステークホルダーマネジメントにほかなりません。
・ミッションと企業価値
今日的なCSRとは、またミッションの時代ですが、ミッションとは、目的と事業を表現しているものです。存在意義(目的と理由、社会への寄与)と事業領域(社業)です。そのうち、理由と事業は、時処位*で更新していくものです。
そして、ミッションとは、人の命題であり、企業の命題です。人は使命で動き、企業も使命で動きます。仕事が単なる労働でなく、仕事としてあるためには、人と企業に使命があり、また共有されていなければなりません。その使命が企業をあるべきところへ押し上げていきます。
これまでの、社是・経営理念といわれるものは、バリューです。存在目的として明文化した不変の価値観です。創業時から永続するオリジナリティで、逆況にあっても、放棄しない信条です。
ビジョンは、理念、願望です。どのような事業領域でどのような地位をめざすかという、比較上のポジションが示されます。したがって時処位で変わっていきます。
それぞれ明文化し共有されていますが、唯一、ミッションはまだ多くの企業で不分明です。ステークホルダーへの配慮と企業固有のバリューをもとに再構築し、全社で共有することが、CSRマネジメントとして求められます。それは、今日、人が企業が、まともに仕事をしていく上での原動力です。
・コンプライアンスと内部統制
コンプライアンスとは、一般的には「内部管理態勢の刷新」ということばでいわれ、具体化して「内部統制」ということばになるものです。さらにリスク管理を組み込み、「リスク管理と一体となって機能する内部統制」となります。
TBLllpは、リスク概念を、「一義的に自社のダメージを回避する」という視点をもつという点で、取り入れません。「一義的にステークホルダーのダメージを回避する」という視点で、マネジメントのフレームワークを設定します。対象とすべきは自社でなくステークホルダーなのです。
リスク管理の中身に相当するものは、視点を変えたアプローチで、GCM(going concern management) すなわち継続企業マネジメントとして集約します。一般的にはBCM(business continuity management) すなわちビジネス継続マネジメントといわれているものです。
GCMのアプローチは、EMS(環境マネジメントシステム)の緊急事態への準備と対応 emergency preparedness and response とかわりありません。ただし、対策本部の設置、説明責任、復旧工程等を、時間軸で管理し、ステークホルダーへの影響を最小限最短時でリカバリーします。
・CSRマネジメントは再構成するもの
CSRマネジメントは、現在の確固としたベースとなるもの、バリュー(価値観)とか風土とか、また機能・構造として有用また無用なものを、再認識した上に成立するものです。
とりまくステークホルダーの要請とはなにか、その要請へどう対応し配慮するかにこたえ、社会にどう資するかというミッションを全員が共有し、すべきことと、してはならないことを、行為規範 code of conduct としてたて、それを順守する、コンプライアンスをPDCA( plan、do、check、action )で行なっていくものです。
その際、過去は清算するものでなく、取捨選択するものです。仮にも歴史あり伝統あるものをこわしてはいけません。一方でバリューでもなく伝統でもなく、ミッションにそぐわない事業や行為規範にもとる慣習があれば、放逐しなければなりません。
万一、社是なり経営方針なり、バリューそのものにそうした齟齬がでてくれば、それはただしく時代ですから、糺すことができます。
400年前の陽明学者中江藤樹は、つぎのようにいっています。
「道と法とは別なものである。道は聖人のなかったときもすでに行われている。法は聖人、時処位*に応じてつくり、その代にあって道に配した。時処位替われば、用いがたきものもあり、合わざる法を行えば、かえって道に害となる」
いま、道は、理念にもとづく、経済、社会、環境のありかたであり、企業にとって法とは、経営理念などバリューにほかなりません。
*時処位:日本陽明学開祖の中江藤樹が「翁問答」で提起した知行合一の指針
(→ことばの意味)
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